それぞれの夏。

2002年7月27日
 夏がやってくる。

 泥だらけになって灰色の球を追いかける夏が、またやってくる。

 憎いほどに眩しい太陽。緑色の蔦。緊張しているのか、口を真一文字に引き結んだ坊主頭たち。

 高校球児の夏がやってくる。

 毎年熱戦が繰り広げられる全国高校野球大会。今朝テレビをつけたら天理―智弁の試合をやっていた。奈良県大会準決勝。このピッチに立てない男を、私は知っている。

 智弁の主将。妹の中学の時の同級生。

 野球選抜で高校に入った。一年生からチームで活躍を見せた。三年生になった今年、チームを引っ張っていく存在となった彼だったが、惜しくも今大会直前に骨折。試合に出るのは不可能になってしまった。

 どれほど悔しい思いをしているだろう。それは私には到底想像のつかない、どうしようもないほど絶望に違いない。

 かたや、私の妹は現在受験の天王山を迎えている。高校野球には目もくれず、参考書と睨めっこの毎日だ。

 白球を追いかけ、骨折に泣いた彼と、毎日10時間の勉強に、クーラーもつけずに挑む妹。

 夏はみなに平等に訪れ、それぞれに過ぎていく。
 
 そして道は分かれていく。悲しいほどに行く先、目指すものは様々なのだ。

 久々に中学時代の友達に連絡を取りたくなった。「なあ、お前今何してんだ? 会うことはないかもしれないけど、お互い頑張っていこうぜ!」

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